2025年までに必要な介護施設

大都市近郊や地方都市での整備が急務

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2016年08月25日

サマリー

◆国内の65歳以上高齢者は、2015年から2025年までの10年間で262万人増加すると推計されており、介護需要の増加が見込まれている。本稿では、介護離職ゼロを実現するために特に有効と考えられる特別養護老人ホーム(以下、特養)などの入居型サービス(以下、介護施設)が2025年までにどの程度必要となるのか、都道府県別に簡単に示したい。


◆政府は健康寿命の延伸を目指しているが、要介護要支援認定者および、要介護3以上と認定される高齢者の割合が大幅に減少するという楽観はし難いだろう。家族の負担が少ない介護施設の定員数は要介護要支援認定者の16%をカバーする程度しか整備されておらず(2014年時点)、多くは在宅ケアを選択している。その在宅ケアを支える定期巡回・随時対応サービスは十分に普及しているとは言い難い。


◆2025年には、65歳以上の要介護要支援認定者数は全国で716万人(65歳以上高齢者の20%)、要介護3以上の高齢者数は252万人(同7%)に達すると推計される。仮に介護施設の定員数が現状から増えなかった場合(2014年のまま)、入所者を要介護3以上に限定したとしても、福岡、神奈川、千葉、沖縄、宮崎などの大都市近郊や地方都市では入所できない高齢者が増える。これらの地域で介護施設の整備が急務である。


◆また、2025年までに必要と思われる特養の総定員数について試算を行った。2025年に入所希望者(入所申込者)が全員入所できる場合、全国で131万人分の特養の総定員数が必要になり、また、入所申込者のうち要介護3以上のみが入所できる場合でも109万人分の総定員数が必要になると推計される。


◆2025年までの期間に限定した場合、大都市郊外や地方都市においても介護施設に余裕があるとは言えず、介護離職ゼロを目指すには、家族などによるインフォーマル支援が少なく済む介護施設の整備についても、計画的に進める必要があるだろう。

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