東北復興後の活力の持続に向けて

『大和総研調査季報』 2011年夏季号(Vol.3)掲載

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2011年08月01日

  • 岡野 武志

サマリー

東北地方では、生産年齢人口の減少、高齢化に伴う後継者の不足、産業構造の空洞化などが震災前から課題となっており、復興後の東北地方が活力を持続するためには、これらの課題を克服しなければならない。

事業基盤を安定させていくためには、地域の資源や伝統を活かしながら、事業規模の拡大を図ることが望まれる。また、事業継続や生活維持の基盤とするため、各地域に自律分散型のサプライチェーンを構築し、そのネットワークを形成しておくこともリスク管理の上で重要になる。少子高齢化が進む社会で、女性が活躍する先進的なモデルを構築していくことも期待される。

地域の活力を高めるためには、観光資源を活かしながら国際的な交流を促進することも重要になる。人材の蓄積・育成やイノベーションを通じて、製品やサービスの品質を高める取り組みは産業の振興につながる。また、公的金融や間接金融だけに依存せず、直接金融の活用によって金融システムを複線化し、地域経済の基礎体力を強化することも重要である。

安全・安心のシステムを堅牢にするためには、対立や競争ではなく、システムを構成する全ての主体が、相互に支援し共生する視点が求められる。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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