GAFAが異業種分野への進出を加速

狙いは各産業のリアルデータ収集

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2019年02月26日

  • 亀井 亜希子

サマリー

◆GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)は、本業のインターネットサービスに加え、自動車やロボット、ウェアラブルデバイス、AIスピーカー等の様々なIoT機器の開発や、リアルデータの蓄積・活用を行うBtoBプラットフォームの提供により、異業種産業のリアルデータの収集に取り組んでいる。

◆日本がリアルデータの利活用を重点的に推進すべき主要産業に掲げた全20分野について、GAFAの進出状況を確認すると、既にGAFAは最大16分野に進出している。Google社とAmazon社による進出が先行しており、Apple社が猛追する構図である。Facebook社は、現段階では進出分野こそ少ないものの、画像や動画を中心とするリアルデータ収集に特化した独自戦略をとっている。

◆現時点でGAFAの全てが進出しGAFA間競争も激戦となっているレッドオーシャンの産業分野は、全20分野のうち25%(5分野)、レッドオーシャンになりつつある産業分野は、同35%(7分野)であった。

◆GAFAが既にIoT機器を市場投入している産業分野では、サービスが自社で完結する場合、リアルデータの一部を独占的に収集する可能性もある。該当する産業分野は、医療分野、介護分野、AI次世代家電分野、自動運転・公共交通のスマート化分野、健康分野、Fintech/キャッシュレス社会の推進分野、宇宙分野、次世代ロボット分野の8分野である。

◆GAFAがデータを共同利用することになる産業分野は、GAFAが進出している産業17分野である。その中でも特に共同利用が進むと考えられるのは、現時点でレッドオーシャンシャンやレッドオーシャンになりつつある領域に分類される12分野である。

◆GAFAのリアルデータ収集に向けた取り組みは予想以上に進んでいる。日本が、日本市場及び海外市場の成長を有利に取り込んでいくためには、GAFAより先に、日本企業がビッグデータを利活用し事業創出できる環境を整えることが急務である。政府は、日本全体のリアルデータをビッグデータ化するプラットフォームの構築を2025年を目途に進めている。

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