サマリー
◆総人口が減少する中で高齢就業者が増加している。高齢化の進展や公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、高齢就業者のさらなる拡大が見込まれる。政府は65歳以上への継続雇用年齢の引き上げを検討しているが、それが現実となった際、人手不足を補う労働力として高齢者を継続雇用するだけでは、単なる人件費の増大となりかねない。
◆2012年からの5年間で、高齢雇用者(65歳以上の雇用者)はすべての産業で増加している。人手不足が深刻な産業や若年層の人材確保が難しい産業において特に高齢雇用者の比率が高い傾向が見られる。また、高齢雇用者比率が高い産業では、高齢雇用者に占める非正規雇用比率が高く、非正規の高齢者雇用の増加がその比率の上昇に寄与している。
◆60歳以上の高年齢者は、働き方の柔軟性や所得を得る目的のもと、自発的に現状の非正規雇用を選択していることも多い。だが、高齢者雇用において企業に求められる対応は、意欲と能力のある高齢雇用者を働く時間や雇用契約の有無によらず、職務内容や成果に基づいて処遇を検討することである。また、高齢雇用者のニーズに応じて、働き方の柔軟性を高めることで、高齢者が自発的に非正規雇用を選択することを回避できるようにもなるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「人生100 年時代」の高年齢者雇用と企業年金
『大和総研調査季報』 2018年夏季号(Vol.31)掲載
2018年07月23日
-
高齢者が働き続けられる雇用管理とは
65歳以降の雇用管理には、健康確保と評価・処遇制度の再構築が必要
2017年11月29日
同じカテゴリの最新レポート
-
健康経営の評価軸は「成果」へシフト
スコープは社会全体のウェルビーイング向上や経済成長にも拡大
2025年09月12日
-
従業員の経済的不安に、企業はどう応えるか
従業員の現在の備えと将来の資産形成を両立する米国企業の取り組み
2025年08月18日
-
若者の奨学金返済の不安をどう解消するか
給付奨学金の拡充、貸与奨学金は有利子から無利子への流れを加速
2025年05月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日