サマリー
◆25~44歳女性就業率は、この30年間で上昇傾向が続いており、結婚や出産・育児期に女性の就業率が落ち込むM字カーブも大きく改善している。一方で、同年代の男性就業率は低下傾向にある。25~44歳男性就業率の都道府県別データを見てみると、この20年間で就業率が全国的に低下するとともに、地域格差が拡大していることが確認された。
◆この20年間で起きた就業率に関する変化は、前半10年と後半10年で異なる特徴を持っている。1992年~2002年は、25~44歳男性就業率が大幅に低下し、地域格差も拡大した10年間であった。その原因としては、バブル崩壊後の景気変動によって、仕事に就きたくても就けない人が増加したことが挙げられるだろう。一方、2002~2012年は、就業率の低下は小幅にとどまったものの、地域格差が拡大し続けた10年であった。地域格差が拡大した原因は、就業希望非求職者や、非就業希望者といった、いわゆる非労働力人口が大幅に増加した地域が存在したことにある。ゆえに、2002~2012年の10年間で拡大した地域格差は、非労働力人口を考慮に入れない完全失業率などの尺度では確認できない。
◆25~44歳男性就業率に関して、地域ごとに抱える問題は異なる。従って、25~44歳男性の就業率を上昇させるためには、全国で画一的な施策をとるよりも、地域ごとの実情に合わせた施策をとることが必要であろう。例えば、単に労働需要を増やすだけでは就業率を上昇させるのが難しい地域も存在する。そのような地域では、病気・けがを患っている人の多さ、就業未経験者の多さ、明確な阻害要因はないが就業を希望しない人の多さ、求職意欲喪失者の多さ、など様々な観点から現状を分析し、それぞれの地域が抱えている問題をしっかりと把握した上で、その問題に対処していくことが必要だ。
◆本稿では、25~44歳男性就業率が過去の水準まで上昇した時の試算も行った。1992年水準では80万人の就業者増、1.94兆~3.82兆円の所得増が見込まれる。また、2002年水準では22万人の就業者増、0.54兆~1.06兆円の所得増が見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
高市政権のイノベーション政策の論点
テキスト分析でみる「統合イノベーション戦略2026」
2026年07月22日
-
積極的なR&D投資に踏み込めない日本企業
企業の保守的行動が危機管理投資・成長投資への懸念材料?
2026年07月15日
-
被扶養者の出生率低下と割合低下が2017年度以後の出生率低下の大部分を説明
医療保険属性別出生率の推計結果:2024年度版
2026年06月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

