サマリー
◆新型コロナウイルス感染症の拡大による経済財政への影響を踏まえ、菅内閣は2025年度としている国と地方の基礎的財政収支(PB)黒字化の目標年度を再確認する方針である。2021年7月21日に公表された内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(以下、試算)を見ると、成長実現ケースの下で歳出改革を続けていくことにより2025年度のPB黒字化は可能との結果を踏まえ、菅内閣は目標年度を維持するとみられる。
◆だが今後、PBが着実に改善していかなければ、目標年度はいずれ先送りされることになる。試算の中身を詳しく見ると、2025年度の目標達成の不確実性は極めて大きい。潜在成長率が加速するという定量的な裏付けはなく、菅内閣の下で成長実現ケースの経済環境が実現するとは限らない。2022年度以降の歳出は改革を織り込まない「自然体」の見通しと直近試算では説明されているが、成長実現ケースで描かれた歳出見通しを実現することは決して容易ではない。
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