サマリー
◆政府・与党内で「NISAの抜本的拡充」に向けた検討が進められており、今後検討すべき論点として、NISAの累計投資額の上限金額が挙げられる。累計投資額は、大きくするほど中間層の投資の自由度が増す一方、多額の投資が可能な富裕層が受ける優遇が大きい側面があり、両者の折り合いがつく水準を模索する必要がある。
◆英国、フランス、米国の類似の資産形成支援制度を参考にすると、金融資産額につき下位から75%~90%程度まで、所得では下位から80%~90%程度までの世帯が保有する金融資産の全額を資産形成支援制度でカバーできる。これを日本の金融資産保有状況に照らし合わせると、NISAの累計投資額の上限を1,600万円~3,400万円程度とすることが示唆される。
◆一方、「日本で平均的な所得層の高齢者のうち投資を行っている世帯が保有している有価証券残高(実現可能額)」や「現在の高齢者の平均的な収支を賄うだけの資産(必要額)」をもとに、現役層が有価証券で資産形成する際の目標水準を設定した場合、NISAの累計投資額の上限は1,000万円前後が支持される。
◆政府・与党においては、これらの水準を参考にして、中間層の資産形成に資する適切な制度設計が行われることを期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
飲食料品消費税率引下げによる事業者への影響
税制や予算の特例により事業者への影響を抑える方針
2026年10月14日
-
国債保有優遇・NISA利便性向上を要望
金融庁・令和9年度税制改正要望
2026年09月17日
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

