2012~2021年の家計実質可処分所得の推計

コロナ禍においても30代の実質可処分所得が伸び続ける

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2022年06月14日

サマリー

◆2012年~2021年の賃金統計等をもとに、5つのモデル世帯を設定し、第2次安倍政権以後における家計の実質可処分所得の推移を推計した。

◆2020年から2021年にかけては、特別定額給付金が剥落したことの影響が大きく、5つのケース全てで実質可処分所得は減少した。しかし、3つのケースで2021年に18歳以下の子ども1人あたり10万円の給付金が支給されていることもあり、2021年の実質可処分所得は5つのケース全てで概ね2012年と同等以上を確保している。

◆特別給付金を除いた長期トレンドを見ると、コロナ禍の2020年・2021年を含め「30代4人世帯」のモデルで実質可処分所得の増加が続いている。その要因には、男性の名目賃金上昇や、幼児教育無償化の恩恵もあるが、最大の要因は、女性の名目賃金上昇である。30代有配偶女性は正規就業率の上昇幅が大きく、女性の正規雇用での就業増加が家計に大きなインパクトをもたらすことが確認できた。

◆今後は、希望する者につき非正規雇用から正規雇用への転換を促す政策を行うことで、「女性活躍」による家計改善を30代だけでなくより幅広い年代に広げていくことが政府の課題となるだろう。

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