サマリー
◆与党が決定した「令和4年度税制改正大綱」(大綱)をもとに、政府は2022年度の税制改正法案を起草し、2022年1月25日に国会に提出した。大綱では、2023年10月から「大口株主」の定義を改正するとしており、制度改正の詳細が法案により明らかになってきた。
◆現行法上、上場企業の3%以上の株式を保有する「大口株主」については、源泉徴収税率が(20.315%ではなく)20.42%となり、かつ、(申告不要や申告分離課税は適用できず)確定申告と総合課税の適用を求める特例が設けられている。このうち、法案では、確定申告における「大口株主」の定義のみを改正する一方、実務に配慮して源泉徴収における「大口株主」の定義は現状を維持するとしている。
◆法案では、確定申告して総合課税の適用を求めるか否かの判定においては、個人保有分の株式に資産管理会社を通じた間接保有分も加算して「3%以上」であるか否かを判定するものとしている。間接保有分の計算にあたっては、親族等の複数人が資産管理会社の株式を保有している場合であっても、個々の保有割合は考慮されず、当該資産管理会社の株主である親族等の全員につき、資産管理会社が保有する上場株式の全株分を個人保有されているものとみなすものとしている。法案では新たに総合課税の対象とする大口株主の定義を広範に規定している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日