配当総合課税の対象者が広範に規定される

2022年度税制改正の大口株主の定義改正、法案により詳細が明らかに

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2022年02月14日

サマリー

◆与党が決定した「令和4年度税制改正大綱」(大綱)をもとに、政府は2022年度の税制改正法案を起草し、2022年1月25日に国会に提出した。大綱では、2023年10月から「大口株主」の定義を改正するとしており、制度改正の詳細が法案により明らかになってきた。

◆現行法上、上場企業の3%以上の株式を保有する「大口株主」については、源泉徴収税率が(20.315%ではなく)20.42%となり、かつ、(申告不要や申告分離課税は適用できず)確定申告と総合課税の適用を求める特例が設けられている。このうち、法案では、確定申告における「大口株主」の定義のみを改正する一方、実務に配慮して源泉徴収における「大口株主」の定義は現状を維持するとしている。

◆法案では、確定申告して総合課税の適用を求めるか否かの判定においては、個人保有分の株式に資産管理会社を通じた間接保有分も加算して「3%以上」であるか否かを判定するものとしている。間接保有分の計算にあたっては、親族等の複数人が資産管理会社の株式を保有している場合であっても、個々の保有割合は考慮されず、当該資産管理会社の株主である親族等の全員につき、資産管理会社が保有する上場株式の全株分を個人保有されているものとみなすものとしている。法案では新たに総合課税の対象とする大口株主の定義を広範に規定している。

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