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デリバティブと現物の損益通算が実現すると個人の証券税制はどう変わるか

令和4年度税制改正要望—留意点も含め個人投資家の理解と支持が広がるかが要望実現のカギ

2021年09月16日

金融調査部 主任研究員 是枝 俊悟

サマリー

◆金融庁は、2021年8月31日に令和4年度税制改正要望(以下、要望)を公表した。要望では、金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)として、「有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象に追加すること」が掲げられた。

◆デリバティブに係る損益通算範囲の拡大は、令和3年度の税制改正の審議過程でも議論され「早期に検討する」とされたものである。このため、金融庁は、「金融所得課税の一体化に関する研究会」を設置し、この要望実現に伴う課題や論点を整理している。

◆要望では、研究会の論点整理を踏まえ、まずは、対象商品を「有価証券市場デリバティブ取引」とし、租税回避防止措置として有価証券市場デリバティブ取引に一律の時価評価課税を採り入れること、利便性向上策として特定口座で取り扱えるようにすることとしている。

◆要望が実現すると、株式投資を行う個人投資家がデリバティブを用いたヘッジを行う際の税制面の障害が取り除かれる。他方、有価証券市場デリバティブ取引とFXの損益が通算できなくなることや、有価証券市場デリバティブ取引に時価評価課税が導入されるため納税資金のため上乗せの現金を用意する必要が生じるなどの留意点もある。こうした留意点も含めて新たな制度案に対する個人投資家の理解と支持が広がるかが、要望実現のカギとなるだろう。

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