サマリー
企業の課税逃れに対処するため、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心とする約140 カ国が、2021 年半ばまでの合意を目指し、ミニマムタックスについて議論している。ミニマムタックスとは、多国籍企業が低税率国に子会社を設立することで、「最低税率」を下回る水準でしか課税を負担していない場合に、本国の親会社等にその国の政府が上乗せ課税を行う措置である。
ミニマムタックス提案の背景として、経済のデジタル化が進み、インターネットを通じたサービスを実現する知的財産権(無形資産)の価値が高まっている中、一部の欧米企業の間で無形資産をタックスヘイブンに移転する課税逃れが行われていることがある。日本企業の多くはタックスプランニングに消極的と言われ、ミニマムタックスが導入されても上乗せ課税の対象となる日本企業は少ないと予想される一方、税負担を抑えている一部の欧米企業と比べて(税引き後利益の獲得能力で測定した)競争力が改善する可能性がある。
OECDはミニマムタックス導入により(並行して議論しているデジタル課税と合わせ)全世界で毎年1,000 億ドルの税収が増加すると試算しており、コロナ禍を受けて増加した各国の財政支出の一部を賄うことが期待される。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日