2021年度税制改正大綱—個人の上場株式等の配当・譲渡益への課税が実質軽減に

証券税制—上場株式等の住民税の課税方式の選択手続き改正

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2020年12月24日

サマリー

◆2020年12月10日に自由民主党・公明党は「令和3年度税制改正大綱」(以下、大綱)を取りまとめた。証券税制関連では、国際金融都市の実現に向けた改正、株式対価TOBに係る税制の整備のほかは、税務手続きの電子化・簡素化を行う改正が中心になった。

◆もっとも、そのうち個人の「上場株式等の住民税の課税方式の選択手続き改正」は、単なる手続きの簡素化にとどまらず、個人投資家への影響が大きいものと考えられる。

◆かねてより、個人投資家は、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することにより、上場株式等の配当や譲渡益に対する税負担(または社会保険料負担)を抑えられる場合があったが、そのためには税務署への所得税の確定申告とは別に、市区町村への住民税の申告を別途行う必要があり、あまり普及していなかった。

◆大綱では、2021年分所得に係る2022年の確定申告から手続きを改めるとしている。この改正が実現すれば、個人投資家において上場株式等の配当・譲渡益で異なる課税方式を選択することが普及し、実質的な課税軽減をもたらすことになると考えられる。

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