サマリー
◆特別定額給付金の国内居住者1人当たり一律10万円給付に対しては、給付のための手続きが煩雑だ、給付が実際に行われるまでの期間が長い、との声も挙がっている。しかし、現状のしくみやマイナンバーカードの普及状況等を前提とすれば、そもそも簡素な手続きで迅速な給付を行うこと自体が困難であった。
◆危機の際に迅速な給付を行うためには、預金口座とマイナンバーを紐づけ、給付事務に活用する必要がある。そのためには、マイナンバーに紐づけた預金口座を1つ、市区町村との入出金用に事前登録するしくみをつくるとよいだろう。また、マイナンバーカードおよびオンラインでの税や社会保障の手続きの普及が進んでいない点も課題であり、利用促進のために電子申請を行った人にポイント還元等のメリットを与えることも考えられる。
◆今後も、大規模災害や経済・金融危機などの非常時に「国民への迅速な現金給付」が必要となる局面が想定される。また、平時であっても、マイナンバーと紐づけた口座が事前登録されていれば、税金の還付、公的年金・児童手当などの際の国民の手続きと行政の事務作業の負担を大幅に軽減することができる。平時・非常時ともに有効にマイナンバーを活用できるよう、制度改正が望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
金融庁、NISAのこども支援措置・投資商品入替措置などを要望
令和8年度税制改正要望—NISAの全世代化に向けた取組みが続く
2025年09月11日
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日