2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

持続可能な年金制度確立に向け経済環境が整ってきた

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2018年10月19日

サマリー

◆公的年金の支給額は、毎年度、賃金や物価などの変動率をもとに改定される。その根拠となる賃金や物価の変動率は過去数年の値を用いるため、現時点で公表されている統計を用いて、2019年度の年金改定率はある程度推定できる。

◆2018暦年の物価変動率が前年比+1.0%(1~9月までと同じ)で、2015~2017年度の実質賃金変動率が0.0%~+0.3%の範囲に収まるなどの仮定を置くと、「賃金変動率」(推定+0.8%~+1.1%)が「マクロ経済スライド率(繰り越し分を含む)」(推定▲0.5%)のマイナス分より大きくなる見込みであるため、2019年度はマクロ経済スライドは完全実施される公算が大きい。

◆見込み通りであれば、(消費税率引上げによる要因を含まない)本来の賃金や物価の変動という、いわば「経済の実力」による初めてのマクロ経済スライド実施となり、持続可能な年金制度確立に向けた経済環境が整ってきたものと言えるだろう。

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