社会保障・税一体改革大綱(社会保障改革)

政府・与党は、給付抑制のうち何を実施し何を実施しないのか明示すべき

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2012年02月21日

サマリー

◆政府は2012年2月17日に「社会保障・税一体改革大綱」(以下、大綱)を閣議決定した。大綱の内容は、2012年1月6日に政府・与党社会保障改革検討本部が決定し同日に閣議報告した「社会保障・税一体改革素案」(以下、素案)とほぼ同じ内容である。

◆大綱に明記はないが、「社会保障の充実」として社会保障・税一体改革で新規に行う施策に充てる財源のネット所要額の総額は、2.7兆円程度(消費税率1%分)とされているものと考えられる。

◆しかし、大綱に記載された社会保障改革の各項目の所要額を積み上げて計算してみると、「給付抑制」のうち現時点で実現可能性が薄いと考えられる3項目を除外したとしても、ネット所要額は合計で1兆9,050億円となる。総額の2兆7,000億円程度という金額は、各項目の積み上げよりも、7,950億円、所要額が水増しして計算されていることになる。すなわち、「給付抑制」をほとんど行わなかったとしても(もしくは追加の「給付拡大」を行ったとしても)ネット所要額が2兆7,000億円に収まる計算になっているものと言える。

◆政府・与党は、大綱に記載した給付抑制項目のうち、何を実施して何を実施しないのか、より明確化すべきである。その上で、社会保障改革に必要なネット所要額を明示し、国民的な議論の土台とすべきであろう。

税制部分の解説は、吉井一洋「社会保障・税一体改革大綱 (税制概要)」を参照。

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