サマリー
◆政府・与党は、2011年度以降の税制改正にあたって、所得税の課税ベースの拡大と累進構造の回復を目指している。また、税と社会保険の一体改革が目指されている。
◆所得税と社会保険料の課税ベースを国際比較すると、日本においては社会保険料の課税ベースは先進諸外国よりやや広い一方、所得税の課税ベースが狭い。所得税の課税ベースが狭い主な原因は社会保険料控除と給与所得控除にある。両控除を改正することにより、日本の所得税は累進構造の回復と増収の余地がある。
◆給与所得控除の上限を200万円、社会保険料控除の上限を100万円とすると、年収約800万円以上の給与所得者に負担増を求めることになり、約5,500億円の税収増が見込まれる。給与所得控除を一律100万円とし、社会保険料控除を廃止して給与所得者1人あたり18万円の「社会保険料還付つき税額控除」を導入すると、年収約450万円以上の給与所得者に負担増を求めることになり、約2兆6,000億円の税収増(基礎年金国庫負担分の財源不足額とほぼ同額)と、低所得者の社会保険料負担の軽減を同時に図ることが可能である。
◆所得税と社会保険料の課税ベースを国際比較すると、日本においては社会保険料の課税ベースは先進諸外国よりやや広い一方、所得税の課税ベースが狭い。所得税の課税ベースが狭い主な原因は社会保険料控除と給与所得控除にある。両控除を改正することにより、日本の所得税は累進構造の回復と増収の余地がある。
◆給与所得控除の上限を200万円、社会保険料控除の上限を100万円とすると、年収約800万円以上の給与所得者に負担増を求めることになり、約5,500億円の税収増が見込まれる。給与所得控除を一律100万円とし、社会保険料控除を廃止して給与所得者1人あたり18万円の「社会保険料還付つき税額控除」を導入すると、年収約450万円以上の給与所得者に負担増を求めることになり、約2兆6,000億円の税収増(基礎年金国庫負担分の財源不足額とほぼ同額)と、低所得者の社会保険料負担の軽減を同時に図ることが可能である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
道府県民税利子割への清算制度導入を提言
令和8年度税制改正での実現は不透明な情勢
2025年08月13日
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日