103万円の壁撤廃後もなお残る130万円の壁(概要)

配偶者の給与収入と世帯の手取り収入増加額の関係(概要版)

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2009年11月24日

サマリー

◆現在、政府税制調査会で配偶者控除・配偶者特別控除の存廃が議論されている。

◆妻(※)の年収が103万円を超えると、配偶者控除は配偶者特別控除に切り替わり、所得控除額が縮小し、夫(※)の税額が増加する。このため、配偶者控除が「103万円の壁」といわれることがあるが、これは本来主婦の就労を抑制する大きな要因となるべきものではない。

◆しかし、妻の年収が130万円以上となった場合、妻は夫の社会保険の扶養から外れ、自ら社会保険料を納付しなければならなくなる。この分を補って世帯の手取り収入を増やすことは難しい。このため、社会保険の「130万円の壁」が、実際には主婦の就労を抑制する大きな要因になりうるものと考えられる。

◆もし配偶者控除・配偶者特別控除が廃止されても、社会保険の加入条件である「130万円の壁」が主婦の就労を抑制する大きな要因となることは変わらない。

(※)本レポートでは説明の便宜上、「世帯の主たる生計者」を「夫」、「世帯の主たる生計者の配偶者」を「妻」としている。夫・妻の関係が逆であっても、税・社会保険上の扱いは同じである。

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