上場子会社におけるガバナンス体制の現状

CGコード改訂が迫る中、独立社外取締役の選任は進んでいるのか?

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サマリー

◆上場子会社の少数株主と親会社との間には、利益相反が発生する可能性が指摘されている。この上場子会社少数株主保護のために、「親会社からの独立性」を持った独立社外取締役に大きな期待が寄せられている。現在、コーポレートガバナンス・コード改訂に向けた議論が進められているが、特に上場子会社に対しては、より多くの独立社外取締役選任が求められる可能性もある。

◆各企業が公表するコーポレート・ガバナンス報告書によると、2020年2月現在、上場子会社であるか否かにかかわらず、東証1・2部上場企業の多くが、独立社外取締役を2名以上選任している。一方で上場子会社は、上場子会社ではない企業と比べて、現時点では特別に多くの独立社外取締役を選任しているわけではない。

◆仮に上場子会社に対し、独立社外取締役増員などの一段レベルの高いガバナンス体制が求められた場合、多くの上場子会社が何らかの対応を行う必要がある。具体的にはCGコード改訂に伴い追加される可能性がある「独立社外取締役1/3以上」という原則を満たすためには、東証1部上場の上場子会社は、非独立社外取締役を1.4人程度独立社外取締役に変更するなどの対応を取る必要があることが分かった。

◆2022年4月より、東証の新市場体制がスタートする予定だ。求められるガバナンス体制は再編後の市場により異なる可能性が高いため、各企業やその関係者は、なぜ独立社外取締役が必要とされているのかを見つめなおしたうえで、東証市場再編の方向性と併せて、CGコード改訂の議論を追っていくべきだろう。

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