日本企業のスポンサーなしADRの発行急増と対応策

米国証券取引所法上の開示規制対象となる可能性あり

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サマリー

◆米国証券取引所法はエクイティ証券の登録義務を課しているが、SECはこの義務を(米国から見た)外国民間発行体に免除する規則を定めている。

◆2008年9月、SECはこの規則を改正し(2008年10月10日発効)、同時にADR(米国預託証書)を発行する際に提出が求められる様式F-6の記載内容も改正した。その結果、一定の場合には外国民間発行体の同意なくADRを発行することが容易になり、日本企業のスポンサーなしADRが急増している(改正後107社について新たに発行(2009年3月16日時点))。

◆スポンサーなしADRの発行により、その発行体のエクイティ証券を保有する米国居住者が増加すれば、米国証券取引所法上の開示義務を負う可能性がある。

◆これに対しては、スポンサーなしADRを発行した預託銀行に対してその廃止を要請する、スポンサー付きADRを発行することで預託銀行にスポンサーなしADRを廃止させるといった対応策が考えられるが、いずれも預託銀行が合意するとは限らないという問題点がある。

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