2017年07月18日
サマリー
◆6月30日、金融庁が金利リスクのモニタリング手法等の見直しに関して、開示に関する告示及び監督指針の改正案を公表した。7月31日までコメントが募集されている。
◆今回の改正案は、昨年4月に公表されたバーゼル銀行監督委員会の最終文書や最近の金利環境等を踏まえ、いわゆる「アウトライヤー基準」を見直すものである。現行のアウトライヤー基準では、国際統一基準行・国内基準行いずれも、銀行勘定の金利リスクが自己資本の20%を超えていないか当局によってモニタリングが行われている。
◆今回の改正案では、国際統一基準行について、2018年3月期から、銀行勘定の金利リスクが「Tier1資本の15%」を超えていないかモニタリングが行われる。銀行勘定の金利リスクの計測手法の見直しも行われ、金利ショックによる経済的価値の減少額を6個の所定のシナリオで、金利収益の減少額を2個の所定のシナリオで計測する。また、開示項目が拡充され、コア預金の平均満期・最長満期等の記載が求められる。
◆国内基準行については、国際統一基準行の1年後の2019年3月期から、銀行勘定の金利リスクが「自己資本の20%」(現行比率を維持)を超えていないかモニタリングが行われる。ただし、国内基準行については、銀行勘定の金利リスクの計測手法が今回の改正案では明らかにはなっていない。
◆なお、金利リスクが上記の比率を超えた場合でも、直ちに業務改善命令の対象になるわけではなく、早期警戒制度の下、当局と銀行との間で深度ある対話が行われ、課題とその原因を共有し、銀行は改善対応策の策定が促される。改善対応策が行われ、例えば債券の売却を行う場合でも、金融市場への影響等に十分配慮し、適切なタイミングが選択されるように留意して監督が行われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日