2017年03月24日
サマリー
◆2017年2月28日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢモニタリングレポート」を公表している。
◆今回のモニタリングの対象となった銀行(金融機関)は、全部で210である。
◆最低所要水準と資本保全バッファーの合計に対する資本不足額は、グループ1(Tier 1資本30億ユーロ超の国際的に活動する銀行(金融機関))全体で48億ユーロ、うちG-SIBs30行だけで9億ユーロ、グループ2(その他すべての銀行(金融機関))で50億ユーロと、決して少ないとは言えない水準である。
◆ただし、その推移を見ると、前回に比して、グループ1全体で約45%の減少、うちG-SIBs30行で約47%の減少、グループ2で約22%の減少となっていることから、このままのペースで行けば2019年の完全実施までには資本不足額はゼロに達することが期待される。
◆また、資本不足額を解消する方法としては、主として現状のペースで内部留保を積み立てていくことにより、2019年の完全実施までにその大部分を補うことが可能となりそうなことが窺われる。
◆というのは、グループ1及びグループ2の銀行(金融機関)の双方において、規制資本の8割超を占めているCET 1の相当程度(グループ1においては57.0%、グループ2においては38.5%)を内部留保が占めているためである。
◆なお、今回のモニタリングは、2015年末までに合意された規制のみが考慮されている。そのため、今回より新たに、G-SIBs向けの追加規制であるTLACがモニタリング対象に追加されている。これに対して、「トレーディング勘定の抜本的見直し」(FRTB) 、簡素で、透明性が高く、比較可能(STC)な証券化商品の取扱い、そしてTLAC保有のダブルギアリングについては、今回のモニタリング対象には含まれていない。もっとも、FRTBについては、特別に、FRTB単独でもたらす最低所要自己資本への影響に関する統計結果を公表している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日