2015年10月15日
サマリー
◆2015年9月15日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢモニタリングレポート」を公表している。
◆今回のモニタリングの対象となった銀行(金融機関)は、全部で221である。
◆グループ1(Tier 1資本30億ユーロ超の国際的に活動する銀行(金融機関))においては、前回に比して、普通株式等Tier 1(CET 1)の最低所要水準(4.5%)と資本保全バッファーの合計(7.0%)に対する資本不足額が39億ユーロ減少してゼロとなっている。グループ2(その他すべての銀行(金融機関))においても、前回に比して、CET 1の最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)に対する資本不足額が16.7%減少している。
◆こうしたことから、前回のモニタリング結果に引き続き、今回のモニタリング結果からも、銀行(金融機関)は、主として現状のペースで内部留保を積み立てていくことにより、2019年の完全実施までに、総自己資本比率10.5%に対する資本不足額の大部分を補うことが可能となりそうなことが窺われる。
◆レバレッジ比率に目を移すと、今回のモニタリング(2014年末時点)ではエクスポージャー額が再び減少している。
◆最低所要水準(Tier 1)と資本保全バッファーの合計(8.5%)にG-SIBsサーチャージを上乗せしたTier 1比率をクリアするための資本調達をしたとしても、レバレッジ比率3%をクリアできない銀行(金融機関)が4.1%(約8行)あることから、エクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)の増加を抑制するというトレンドが次回のモニタリング(2015年6月末時点)まで継続する可能性も考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日