バーゼル委、オペリスクの見直しへ

【市中協議文書】粗利益を指標とする非モデル手法の廃止へ

RSS
  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2014年10月6日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「オペレーショナル・リスクに係る標準的手法の見直し(市中協議文書)」を公表している(コメント提出期限は2015年1月6日)。


◆市中協議文書は、オペレーショナル・リスクがバーゼルⅡの合意(2004年)で新たに自己資本比率の分母に導入されて以降初めて、その算出方法に抜本的な改訂を施す旨提案するものである。


◆市中協議文書が提案する新しい標準的手法(revised SA)は、現行の粗利益を指標とする非モデル手法(基礎的手法及び粗利益配分手法)に取って代わる算出方法である。


◆まず、新しい標準的手法(revised SA)は、指標の精緻化を試みている。すなわち、基礎的手法と粗利益配分手法が指標としている粗利益ではなく、より統計的に優れた「ビジネス指標」(BI)を指標とする旨提案している。


◆そして、業務区分(business line)ではなく、ビジネス指標(BI)の規模に応じた規制上の係数(掛目)の適用を提案している。


◆わが国の銀行の大部分は、粗利益を指標とする非モデル手法を採用していると思われることから、それらの銀行において算出方法の変更による事務的負担が発生することは間違いない。


◆そこで、市中協議文書を(最終規則文書の公表を経て)わが国で実施するにあたっては、少なくとも国内基準行については現行の粗利益を指標とする非モデル手法の選択適用を認めるという緩和措置が採られるか否かが問題となり得よう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。