2014年03月20日
サマリー
◆2014年3月6日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢモニタリングレポート」(2013年6月末時点)を公表している。
◆今回のモニタリングの対象となった銀行(金融機関)は、全部で227である。
◆普通株式等Tier1(CET1)比率に関しては、グループ1の98%が最低所要水準(4.5%)を、95%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。同じくグループ2では、95%が最低所要水準(4.5%)を、88%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。
◆グループ1及びグループ2の銀行(金融機関)におけるリスク・アセット(自己資本比率計算における分母)は、バーゼルⅢを適用することにより、それぞれ(バーゼルⅡベースと比して)9.1%、7.1%の増加が見られている。グループ1における最大の変動要因はトレーディング勘定の見直し(バーゼル2.5)であり、リスク・アセットを3.6%増加させるという結果が出ている。
◆レバレッジ比率に目を移すと、2013年6月の時点で、それまで増加し続けてきたエクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)が減少しており、いわゆるデレバレッジの兆しが見られる。
◆BCBSによると、最低所要水準と資本保全バッファーの合計(8.5%)にG-SIBsサーチャージを上乗せしたTier1比率をクリアするための資本調達をしたとしても、モニタリング対象となった銀行(金融機関)の13.6%が、レバレッジ比率3%をクリアできないとされている。そのため、デレバレッジとまではいかなくとも、エクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)の増加を抑制するというトレンドが次回のモニタリング(2013年末時点)まで継続する可能性も考えられる。
◆なお、大手102の銀行(金融機関)においては、CET1の最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)に対する資本不足額が、前回から50%も減少している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日