バーゼルⅢへの対応状況(2013年6月末時点)

モニタリング結果の公表(第5回):内部留保の積立でクリア可能か

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2014年3月6日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢモニタリングレポート」(2013年6月末時点)を公表している。


◆今回のモニタリングの対象となった銀行(金融機関)は、全部で227である。


◆普通株式等Tier1(CET1)比率に関しては、グループ1の98%が最低所要水準(4.5%)を、95%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。同じくグループ2では、95%が最低所要水準(4.5%)を、88%が最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)をクリアしている。


◆グループ1及びグループ2の銀行(金融機関)におけるリスク・アセット(自己資本比率計算における分母)は、バーゼルⅢを適用することにより、それぞれ(バーゼルⅡベースと比して)9.1%、7.1%の増加が見られている。グループ1における最大の変動要因はトレーディング勘定の見直し(バーゼル2.5)であり、リスク・アセットを3.6%増加させるという結果が出ている。


◆レバレッジ比率に目を移すと、2013年6月の時点で、それまで増加し続けてきたエクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)が減少しており、いわゆるデレバレッジの兆しが見られる。


◆BCBSによると、最低所要水準と資本保全バッファーの合計(8.5%)にG-SIBsサーチャージを上乗せしたTier1比率をクリアするための資本調達をしたとしても、モニタリング対象となった銀行(金融機関)の13.6%が、レバレッジ比率3%をクリアできないとされている。そのため、デレバレッジとまではいかなくとも、エクスポージャー額(レバレッジ比率の分母)の増加を抑制するというトレンドが次回のモニタリング(2013年末時点)まで継続する可能性も考えられる。


◆なお、大手102の銀行(金融機関)においては、CET1の最低所要水準と資本保全バッファーの合計(7.0%)に対する資本不足額が、前回から50%も減少している。

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