2014年02月26日
サマリー
◆2014年1月12日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、レバレッジ比率の改訂版(改訂テキスト)を公表している。
◆改訂テキストは、2013年6月に公表された市中協議文書に寄せられたコメント及び銀行データの慎重な検討・分析を踏まえ、レバレッジ比率の枠組みに係る最終報告を示したものである。
◆改訂テキストは、エクスポージャー額(分母)の計測方法において、いくつかの点で市中協議文書を緩和している。
◆変更点のうち、とりわけ金融業界から歓迎されたのが、レポ取引等のSFTにおけるネッティングの許容である。というのも、市中協議文書が提案していたようにネッティングを一切認めないこととした場合、日米欧の大手行は、レポ取引による借入に対し、合わせて少なくとも1800億ドル相当の資本を上乗せする必要があるとまで報じられていたためである。
◆そこで、次なる議論の焦点は、レバレッジ比率の分子の行方に移行している。
◆まずは、目下「3%」とされている最低要件であるが、米国の提案(2013年7月)は一定の規模の銀行持株会社に対してTier1ベースで5%(対象行の中の預金取扱銀行については6%)のレバレッジ比率を要求しており、BCBSの議論に影響を与える可能性がある。
◆また、目下「Tier1」とされている資本の内容であるが、BCBSはこれを「普通株式等Tier1」に厳格化する可能性を示唆している。
◆実施スケジュールとしては、2013年1月から2017年1月までの試行期間において3%の比率をテスト、その試行期間の結果を踏まえて2018年1月から「第1の柱」の下での取扱いに移行することを視野に2017年中に最終調整をする(開示は2015年1月から)。
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