国内行向けバーゼルⅢ、開示要件の改正(案)

【金融庁告示改正案】国内行の開示事項、国内行向けバーゼルⅢ導入へ

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2013年10月23日、金融庁は、金融機関の自己資本比率規制に関して、国内基準行を対象として、「第三の柱」(市場規律)に係る「告示」(開示告示)の一部を改正する案(開示告示改正案)を公表している。


◆開示告示改正案は、国内基準行に対し、2014年3月31日から、いわゆる「国内基準行向けバーゼルⅢ」を導入するための「第一の柱」(最低所要自己資本比率)に係る「告示」(自己資本比率告示)の改正(2013年3月8日公布)(改正自己資本比率告示)が適用されることを受け、所要の改正を加えることを提案するものである。


◆金融庁は、2013年11月8日まで開示告示改正案に対する意見を募集した。そして、ここで得られた意見を基に策定される正式な開示告示を、改正自己資本比率告示と合わせて、2014年3月31日から適用する意向としている。


◆開示告示改正案の要点は、(現行の国内基準行向けの開示告示では「定量的な開示事項」の一部として扱われている)自己資本の構成に関する事項が独立の開示事項として取り扱われている点にあるものと考えられる。


◆なお、開示告示改正案を現行の国際統一基準行向けの開示告示(バーゼルⅢ準拠)と比較すると、(中間)事業年度((中間)連結会計年度)における「定性的な開示事項」及び「定量的な開示事項」はほぼ同一の内容となっている。もっとも、(中間)事業年度((中間)連結会計年度)における「自己資本の構成に関する開示事項」及び「四半期の開示事項」は、開示告示改正案のほうが著しく簡素なものとなっている。これは、国際統一基準行の「自己資本」が「普通株式等Tier1」・「その他Tier1」・「Tier2」の3層から成るのに対し、国内基準行向けの「自己資本」が「コア資本」のみから成る点に起因する。

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