バーゼル委、信用保証取引のコスト認識へ

【市中協議文書】重要な信用保証取引のコストにRW1250%適用か

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2013年3月22日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、市中協議文書「信用保証取引のコスト認識」を公表している(コメント提出期間は2013年6月21日をもって満了)。 


◆信用保証取引を用いた信用リスク削減手法においては、保証(プロテクション)に伴う損失や費用の認識(計上)を遅らせるとともに、形式的なリスク移転によって保証対象のエクスポージャーのリスク・ウェイトを軽減させることで、自己資本比率規制の規制裁定の余地がある。 


◆この点に関して、BCBSは、2011年12月16日、「高コストの信用保証に係るステートメント」(ステートメント)を公表している。ステートメントは、監督当局がそのような規制裁定の懸念を、「第2の柱」(金融機関の自己管理と監督上の検証)における監督上の検証プロセス及び資本の適切性の評価という広い観点から精査していくことを、銀行に対して警告するものとなっている。


◆市中協議文書で提案されている変更には、信用保証の便益だけでなく、コストについても規制資本の中で適切に認識されることを確保する狙いがある。すなわち、市中協議文書の公表は、BCBSが、高コストの信用保証取引について、より包括的な「第1の柱」による対応に関する提案を推し進めることを決定したことに基づく。


◆BCBSは、市中協議文書にて、リスク・ウェイト150%超の資産に対する信用保証取引については、原則として、信用保証コストの現在価値を保証提供者に対するエクスポージャーとみなし、当該エクスポージャーに対して1250%のリスク・ウェイトを適用することを提案している。

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