2013年07月26日
サマリー
◆2013年3月22日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、市中協議文書「信用保証取引のコスト認識」を公表している(コメント提出期間は2013年6月21日をもって満了)。
◆信用保証取引を用いた信用リスク削減手法においては、保証(プロテクション)に伴う損失や費用の認識(計上)を遅らせるとともに、形式的なリスク移転によって保証対象のエクスポージャーのリスク・ウェイトを軽減させることで、自己資本比率規制の規制裁定の余地がある。
◆この点に関して、BCBSは、2011年12月16日、「高コストの信用保証に係るステートメント」(ステートメント)を公表している。ステートメントは、監督当局がそのような規制裁定の懸念を、「第2の柱」(金融機関の自己管理と監督上の検証)における監督上の検証プロセス及び資本の適切性の評価という広い観点から精査していくことを、銀行に対して警告するものとなっている。
◆市中協議文書で提案されている変更には、信用保証の便益だけでなく、コストについても規制資本の中で適切に認識されることを確保する狙いがある。すなわち、市中協議文書の公表は、BCBSが、高コストの信用保証取引について、より包括的な「第1の柱」による対応に関する提案を推し進めることを決定したことに基づく。
◆BCBSは、市中協議文書にて、リスク・ウェイト150%超の資産に対する信用保証取引については、原則として、信用保証コストの現在価値を保証提供者に対するエクスポージャーとみなし、当該エクスポージャーに対して1250%のリスク・ウェイトを適用することを提案している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

