デリバティブ取引の証拠金規制案

【BCBS/IOSCO第二次市中協議】為替フォワード・スワップは適用除外か

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2013年2月15日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)と証券監督者国際機構(IOSCO)は、「中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制」の第二次市中協議文書(CD)を公表している


◆CDは、2012年7月に公表された第一次市中協議文書に寄せられたコメントの慎重な検討及び定量的影響度調査(QIS)の結果を踏まえ、最終案に近い政策的枠組みを示したものである。CDへのコメント提出は2013年3月15日に締め切られている。


◆第一次市中協議文書は、G20の要請を踏まえ、システミック・リスクの低減及び中央清算の促進を目的として、中央清算されないデリバティブ取引について一定の証拠金(当初証拠金及び変動証拠金)の授受を求めることを提案したものである(この大枠は、CDにあっても変更されていない)。


◆CDにおける第一次市中協議文書からの主な変更点としては、①現物決済を伴う為替フォワード・スワップを適用除外とすべきか否かを検討していること、②当初証拠金に5,000万ユーロを上回らない額の閾値(スレッショルド)が設定されること、③一定の要件を満たす限定的な場合に限って、当初証拠金として受領した担保資産の再担保を許容すべきか否かを検討していること、④当初証拠金に係る規制については、中央清算されないデリバティブ取引の想定元本の規模に応じて、2015年から2019年にかけて段階的に実施されること、⑤中央清算されないデリバティブ取引の想定元本残高(前年直近3ケ月の月末平均)が80億ユーロ未満の取引主体については、証拠金規制は適用されないこと、の5点が挙げられるものと考えられる。


◆これらは、いずれも第一次市中協議文書からの緩和と言えるものであり、市場参加者にとっては歓迎すべきものであろう。


◆もっとも、これらのうち、①と③の結論については、最終報告の公表(公表予定時期は不明)を待たねばならず、より慎重な検討がなされることになろう。

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