2012年12月19日
サマリー
◆2012年12月7日、金融庁は、バーゼル規制(国際的な銀行の自己資本比率規制)に関して、国際統一基準行を対象として、「第1の柱」(最低所要自己資本比率)に係る告示の一部改正(改正告示)を公表している。
◆改正告示は、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が、2012年7月25日、バーゼルⅢのなかで唯一最終化されていなかった、銀行の清算機関(CCP)向けエクスポージャーに対する資本賦課に関する暫定規則を公表したことを踏まえたものである。
◆改正告示は、(バーゼルⅢを踏まえて2012年3月30日に公布された告示(の改正)やそれに付随するQ&A・監督指針等と同様に、)2013年3月31日から適用される。
◆CCP向けエクスポージャーについては、現行規制上、一般的にエクスポージャー額を「ゼロ」とする取扱いが認められている。現行の取扱いの見直しの背景には、適格なCCPを通じたOTCデリバティブ取引の決済を促進する必要性がある。
◆これを実現すべく、改正告示は、CCPに取引を集中させることにより生じ得る潜在的なシステミック・リスクにかんがみ、エクスポージャー額「ゼロ」を認めるための要件を厳格化しつつも、一定の要件を充足するCCP向けエクスポージャーに対する資本賦課を本則よりも緩和している。
◆適用が開始される2013年3月末に向けて、対象となる国際統一基準行としては、CCPの適格性の有無、CCP向けエクスポージャーの洗い出しが急務となろう。
◆特に、清算基金の信用リスク・アセット額の算出にあたってリスク感応的な手法を採用する場合は、取引があるCCPと協議のうえ、入念な準備を進める必要が生じよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日