バーゼルⅢ、国内基準行版(案)公表(概要)

コア資本、CVAを導入、最低自己資本(コア資本)比率は4%

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  • 吉井 一洋

サマリー

◆2012年12月12日に、金融庁は、国内基準行向けの自己資本比率規制改正案を公表した。


◆新基準案では、バーゼルⅢを受けて、コア資本の定義を導入しており、従来のTier1資本、Tier2資本、Tier3資本の区分はなくしている。コア資本は、普通株式、強制転換条項付優先株式、内部留保、その他の包括利益累計額の一部(退職給付債務関連、為替換算調整勘定)の合計から調整項目(控除項目)を控除して算出する。調整項目は国際統一基準行に適用される基準の考え方に準じている。


◆これまでマーケット・リスク規制を適用していなかった国内基準適用の銀行・銀行持株会社についても、一定の要件に該当する場合はマーケット・リスク規制が適用される。


◆分母のリスク・アセットには、CVAリスク相当額(÷8%)、CCP(中央清算機関)関連エクスポージャーも算入される。CVAリスク相当額には簡便法が設けられている。


◆重要な出資には1250%、他の金融機関等の資本調達手段(普通株式等以外)、特定項目(調整項目不算入部分)は250%のリスク・ウエイトを適用する。


◆維持すべき自己資本比率(コア資本の比率)は4%以上である。


◆金融庁は、改正基準案について、2013年1月18日の正午まで意見募集する。適用は2014年3月末からの予定であるが、原則10年間の経過措置を導入し、段階的に実施される。

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