バーゼルⅢ規制の同等性評価(レベル2)

日米欧の審査結果:邦銀の「国際統一基準行」のリスト(16行)公表も

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2012年10月1日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢの実施状況(レベル2審査)に関する評価報告書」を公表している。

◆このレベル2審査は、バーゼルⅢと各国規制の整合性を検証するためのものであり、今回の公表では、他のBCBSメンバー国(地域)に先んじて行われた日本、米国、欧州連合(EU)に対する審査の結果をまとめたものとなっている。

◆今回の審査では、(米国とEUはドラフト段階のため、結果は暫定であるものの、)日本のみがバーゼルⅢとの同等性評価に合格したという結果が出ている。

◆この結果自体は、これまでの各管轄におけるバーゼルⅢ規制策定の経過を観察してきた者にとっては、何ら驚くべきものではない。ただ、今回の審査結果は、米国とEU(とくにEU)が、日本と比べて、バーゼルⅢの実施を柔軟に考えているということが改めて認識されるきっかけとなったのではないだろうか。

◆なお、一点、日本への指摘で気にかかるのは、日本のバーゼルⅢ規制が、カウンターパーティー・リスク(CCR)計測手法としての期待エクスポージャー方式(IMM)を規定していないという指摘である。

◆このため、BCBSの指摘によれば、邦銀が信用評価調整(CVA)の算出にあたって先進的リスク測定方式を採用することは、実質的に不可能ということになる。

◆BCBSは、これまでにIMMを採用している邦銀は存在していないが、いくつかの邦銀が2年から5年のうちにIMMを採用することを示唆しているということから、日本の当局はCCR)計測手法としてのIMMの規定の導入を迫られるだろうとしている。

◆また、今回の審査では、日本におけるバーゼルⅢ規制の適用対象となる「国際統一基準行」のリスト(16行)が公表されている。

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