2012年10月18日
サマリー
◆2012年10月1日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢの実施状況(レベル2審査)に関する評価報告書」を公表している。
◆このレベル2審査は、バーゼルⅢと各国規制の整合性を検証するためのものであり、今回の公表では、他のBCBSメンバー国(地域)に先んじて行われた日本、米国、欧州連合(EU)に対する審査の結果をまとめたものとなっている。
◆今回の審査では、(米国とEUはドラフト段階のため、結果は暫定であるものの、)日本のみがバーゼルⅢとの同等性評価に合格したという結果が出ている。
◆この結果自体は、これまでの各管轄におけるバーゼルⅢ規制策定の経過を観察してきた者にとっては、何ら驚くべきものではない。ただ、今回の審査結果は、米国とEU(とくにEU)が、日本と比べて、バーゼルⅢの実施を柔軟に考えているということが改めて認識されるきっかけとなったのではないだろうか。
◆なお、一点、日本への指摘で気にかかるのは、日本のバーゼルⅢ規制が、カウンターパーティー・リスク(CCR)計測手法としての期待エクスポージャー方式(IMM)を規定していないという指摘である。
◆このため、BCBSの指摘によれば、邦銀が信用評価調整(CVA)の算出にあたって先進的リスク測定方式を採用することは、実質的に不可能ということになる。
◆BCBSは、これまでにIMMを採用している邦銀は存在していないが、いくつかの邦銀が2年から5年のうちにIMMを採用することを示唆しているということから、日本の当局はCCR)計測手法としてのIMMの規定の導入を迫られるだろうとしている。
◆また、今回の審査では、日本におけるバーゼルⅢ規制の適用対象となる「国際統一基準行」のリスト(16行)が公表されている。
◆このレベル2審査は、バーゼルⅢと各国規制の整合性を検証するためのものであり、今回の公表では、他のBCBSメンバー国(地域)に先んじて行われた日本、米国、欧州連合(EU)に対する審査の結果をまとめたものとなっている。
◆今回の審査では、(米国とEUはドラフト段階のため、結果は暫定であるものの、)日本のみがバーゼルⅢとの同等性評価に合格したという結果が出ている。
◆この結果自体は、これまでの各管轄におけるバーゼルⅢ規制策定の経過を観察してきた者にとっては、何ら驚くべきものではない。ただ、今回の審査結果は、米国とEU(とくにEU)が、日本と比べて、バーゼルⅢの実施を柔軟に考えているということが改めて認識されるきっかけとなったのではないだろうか。
◆なお、一点、日本への指摘で気にかかるのは、日本のバーゼルⅢ規制が、カウンターパーティー・リスク(CCR)計測手法としての期待エクスポージャー方式(IMM)を規定していないという指摘である。
◆このため、BCBSの指摘によれば、邦銀が信用評価調整(CVA)の算出にあたって先進的リスク測定方式を採用することは、実質的に不可能ということになる。
◆BCBSは、これまでにIMMを採用している邦銀は存在していないが、いくつかの邦銀が2年から5年のうちにIMMを採用することを示唆しているということから、日本の当局はCCR)計測手法としてのIMMの規定の導入を迫られるだろうとしている。
◆また、今回の審査では、日本におけるバーゼルⅢ規制の適用対象となる「国際統一基準行」のリスト(16行)が公表されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日