2011年08月16日
サマリー
◆2011年8月5日のスタンダード&プアーズ・レーティング・サービシズ1による米国の長期国債格下げは、マーケットに大きなショックを与えた。
◆S&Pは、日本の長期国債の格付も、既に4月に「AA-安定的」から「AA-ネガティブ」に変更している。同5月には、フィッチ・レーティングス2が、日本の長期国債の格付のアウトルックを「安定的」から「弱含み」に変更した他、ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク)3が、現在の「Aa2」の格付について「引下げの方向で見直し」の対象とした。
◆バーゼル規制の標準的手法では国債について「AA-」「Aa3」は、まだリスク・ウエイト0%の水準だが、すぐ下の「A+」「A1」では20%となる。銀行等向け債権も、ソブリンに連動させる方法を採用している国・地域(わが国も含む)の場合は、リスク・ウエイトは50%となる。
◆ただし、わが国の銀行等が保有する場合、円建て国債のリスク・ウエイトは格付に関係なく0%、円建ての銀行等向けの債権のうち短期(当初の満期が3ヶ月以内)の債権の場合は、格付に関係なく20%のリスク・ウエイトが適用される。長期債権はソブリン向け債権の格付に連動するが、株式会社格付投資情報センターや株式会社日本格付研究所を適格格付機関と指定している場合や、経済協力開発機構や輸出信用機関によるカントリー・リスク・スコアを用いている場合は、リスク・ウエイトが50%に簡単に引き上げられる可能性は低いと思われる。
◆これに対して、海外の標準的手法を採用している銀行等が保有する円建て国債やわが国の銀行等向け債権については、国・地域や指定している適格格付機関によって違いはあるものの、今後、日本の長期国債の格下げがあった場合、リスク・ウエイトが引き上げられる可能性がある。
◆政府が、復興財源の税源確保や社会保障・税の一体改革のための消費税率引き上げなどを十分に行えなかった場合、国債の格下げを通じて、わが国やわが国の銀行等の資金調達や取引に大きな影響を与える可能性がある。
◆S&Pは、日本の長期国債の格付も、既に4月に「AA-安定的」から「AA-ネガティブ」に変更している。同5月には、フィッチ・レーティングス2が、日本の長期国債の格付のアウトルックを「安定的」から「弱含み」に変更した他、ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク)3が、現在の「Aa2」の格付について「引下げの方向で見直し」の対象とした。
◆バーゼル規制の標準的手法では国債について「AA-」「Aa3」は、まだリスク・ウエイト0%の水準だが、すぐ下の「A+」「A1」では20%となる。銀行等向け債権も、ソブリンに連動させる方法を採用している国・地域(わが国も含む)の場合は、リスク・ウエイトは50%となる。
◆ただし、わが国の銀行等が保有する場合、円建て国債のリスク・ウエイトは格付に関係なく0%、円建ての銀行等向けの債権のうち短期(当初の満期が3ヶ月以内)の債権の場合は、格付に関係なく20%のリスク・ウエイトが適用される。長期債権はソブリン向け債権の格付に連動するが、株式会社格付投資情報センターや株式会社日本格付研究所を適格格付機関と指定している場合や、経済協力開発機構や輸出信用機関によるカントリー・リスク・スコアを用いている場合は、リスク・ウエイトが50%に簡単に引き上げられる可能性は低いと思われる。
◆これに対して、海外の標準的手法を採用している銀行等が保有する円建て国債やわが国の銀行等向け債権については、国・地域や指定している適格格付機関によって違いはあるものの、今後、日本の長期国債の格下げがあった場合、リスク・ウエイトが引き上げられる可能性がある。
◆政府が、復興財源の税源確保や社会保障・税の一体改革のための消費税率引き上げなどを十分に行えなかった場合、国債の格下げを通じて、わが国やわが国の銀行等の資金調達や取引に大きな影響を与える可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日