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日本国債格付とバーゼル規制(改訂版)

海外金融機関が保有する日本国債やわが国銀行等向け債権に影響

金融調査部 制度調査担当部長 吉井 一洋

サマリー

◆2011年8月5日のスタンダード&プアーズ・レーティング・サービシズ1による米国の長期国債格下げは、マーケットに大きなショックを与えた。

◆S&Pは、日本の長期国債の格付も、既に4月に「AA-安定的」から「AA-ネガティブ」に変更している。同5月には、フィッチ・レーティングス2が、日本の長期国債の格付のアウトルックを「安定的」から「弱含み」に変更した他、ムーディーズ・インベスターズ・サービス・インク)3が、現在の「Aa2」の格付について「引下げの方向で見直し」の対象とした。

◆バーゼル規制の標準的手法では国債について「AA-」「Aa3」は、まだリスク・ウエイト0%の水準だが、すぐ下の「A+」「A1」では20%となる。銀行等向け債権も、ソブリンに連動させる方法を採用している国・地域(わが国も含む)の場合は、リスク・ウエイトは50%となる。

◆ただし、わが国の銀行等が保有する場合、円建て国債のリスク・ウエイトは格付に関係なく0%、円建ての銀行等向けの債権のうち短期(当初の満期が3ヶ月以内)の債権の場合は、格付に関係なく20%のリスク・ウエイトが適用される。長期債権はソブリン向け債権の格付に連動するが、株式会社格付投資情報センターや株式会社日本格付研究所を適格格付機関と指定している場合や、経済協力開発機構や輸出信用機関によるカントリー・リスク・スコアを用いている場合は、リスク・ウエイトが50%に簡単に引き上げられる可能性は低いと思われる。

◆これに対して、海外の標準的手法を採用している銀行等が保有する円建て国債やわが国の銀行等向け債権については、国・地域や指定している適格格付機関によって違いはあるものの、今後、日本の長期国債の格下げがあった場合、リスク・ウエイトが引き上げられる可能性がある。

◆政府が、復興財源の税源確保や社会保障・税の一体改革のための消費税率引き上げなどを十分に行えなかった場合、国債の格下げを通じて、わが国やわが国の銀行等の資金調達や取引に大きな影響を与える可能性がある。

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