金融安定化フォーラム報告書

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  • 吉川 満

サマリー

(1)金融安定化フォーラム(FSF)は4月12日、米国発で瞬く間に世界に広がった『証券化商品問題』に関する報告書を発表した。既に発表された米国大統作業部会の報告書もかなり反映されており相当程度、国際協力が進んでいる事が伺える。

II.資本・流動性・及びリスク・マネージメントの慎重な監督の強化

III.透明性と価格付けの強化は、事件への直接の対応に即して書いている所も多いので、とくに米国大統領作業部会の影響が強く感じられる。

(2)しかし、単に米国の意見の引き写しではない。FSFは各国の金融監督当局、中央銀行を含む組織であるから、そうした意味で、他国の意見もかなり反映されている。

IV.リスクに関する金融監督当局の責任の強化

V.金融システムのストレスに対処するための強靭なアレンジなどには欧州を中心とする各国の意見がかなりはっきりと反映されていると感じた。

(3)こうして各国が十分に情報交換しつつ、自分の意見も言い合う形で報告書が作られれば、金融市場の混乱から、金融機関、金融市場が被った打撃からは、比較的短期間に回復できるのではないかと思われる。

(4)しかし、米国などの実体経済への影響を完全に克服するにはかなり時間がかかるかもしれない。又、報告書作成作業などを通じ期せずして、各国発言力が高まった事もあり、いわゆる『米国一極集中経済の終焉』は確実に進行していくだろう、と感じた。

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