サマリー
◆本稿では、2026年中間選挙で民主党が上下院の多数派を獲得し、大統領と議会多数派が異なる「分割政府」が成立した場合の政治・経済・市場への影響を考察した。過去の分割政府下では株式のリスク対比リターンが低い傾向が見られ、共和党政権が中間選挙で分割政府となった1986年と2006年の翌年には、金融リスクが顕在化した。足元の米国経済も、K字化といった潜在的な脆弱性を抱えている。トランプ政権がいかに安定した政治運営を実現できるかは、経済・市場の安定性を考える上でも重要な論点となる。
◆トランプ政権の政策運営の先行きを考える上で、政策決定プロセスの変化に着目すると、分割政府の下では、上院のフィリバスター(少数派による審議引き延ばし)や大統領拒否権により、共和・民主両党とも相手の政策を阻止できる一方、自らの政策を実現しにくくなる。高官人事の停滞や弾劾をめぐる対立も加わり、政治の停滞が強まる可能性が高い。特に2027年後半に想定される債務上限問題では、交渉の長期化が国債・短期金融市場を不安定化させる恐れがある。
◆議会で法案を成立させにくくなれば、政権は大統領布告や覚書などの行政命令に依存しやすくなる。しかし、これらは司法判断や次期政権によって変更されやすく、政策の継続性と予見可能性を低下させる。また、国内政治で成果を上げにくいレームダック期には、トランプ大統領が米中関係や米イラン関係など外交・安全保障分野で活動を活発化させる可能性がある。一方、議会も制裁、予算、決議を通じて大統領の外交活動に対するけん制を強めるため、不確実性も高まりやすいと考えられる。
◆こうした政治の停滞と不確実性の高まりは、株価のバリュエーションを押し下げ、企業利益や設備投資に波及する可能性がある。さらに、株価下落による逆資産効果が高所得層の消費を抑えれば、K字化が進む米国経済の下支え役が失われかねない。経済と市場の安定には、トランプ大統領が議会との妥協・協力を重視するなど、自身の政治手法を変え、予見可能な政治運営へ転換できるかが重要となる。
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