FOMC 2024年内の利下げ予想は0.25%pt

足元のインフレ減速を評価も、利下げ予想は慎重なスタンス

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2024年06月13日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2024年6月11日・12日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の5.25-5.50%で据え置かれた。これで、2023年9月のFOMC以降、7会合連続で金利は据え置きとなった。

◆今回のFOMCで公表された FOMC 参加者の経済見通し(SEP)については、実質GDP成長率見通しが据え置きとなり、失業率も小幅な上方修正(悪化)に留まる一方、物価見通しが上方修正された。景気が堅調に推移する中で、インフレ率の減速が緩やかなものに留まるとの見立てが示された。

◆こうしたSEPを踏まえ、FOMC参加者のFF金利見通し (ドットチャート)は、2024年の中央値が上方修正され、2024年内の利下げ幅の想定が、3月時点の合計0.75%ptから0.25%ptに引き下げられた。他方で、2025年末の中央値も上方修正されたものの、2025年の利下げ幅については3月時点の合計0.75%ptから、1.00%ptに拡大された。2026年末のFF金利水準は3.1%と前回予想(3月時点)と変わらなかった。

◆最大の注目点である利下げ開始のタイミングに関しては、記者会見当日に公表された5月のCPIのように、インフレ減速を示す良好な結果が継続することがカギとなる。5月のコアCPIで大幅に減速したコアサービス価格(家賃除く)は、労働需給のひっ迫度合いの緩和を反映したもので、インフレ減速に向けてポジティブな兆しといえる。

◆他方で、11月の大統領選挙を控え、不法移民の抑制と最低賃金の引き上げといった、有権者の不満解消を目指す動きが見られ、賃金上昇率が下げ渋る可能性がある。米国経済がインフレ減速、および利下げの判断という重要なフェーズへと移行する中で、政治の季節到来が不確定要素になりつつある点は注意を要する。

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