サマリー
◆2023年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+3.3%と、同7-9月期から減速したものの、市場予想(Bloomberg調査:同+2.0%)を上回る結果となった。内訳を見ると、米国経済の屋台骨である個人消費が引き続き好調だった。住宅投資は同7-9月期から伸び幅が縮小したものの増加を維持し、設備投資は伸び幅が小幅に拡大した。結果、米国経済の自律的な成長を反映する民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)は4四半期連続で増加し、米国経済は好調を維持したと評価できる。
◆ただし、2024年の実質GDP成長率は上半期を中心にペースダウンすると見込まれる。雇用環境が底堅さを維持しつつも緩やかに悪化していくことで、個人消費も緩やかに減速していくとみられる。さらに、金融引き締めの効果が継続することで、住宅投資や設備投資は抑制されるとみられる。このように需要が抑制されることでインフレの減速が続き、2024年央には金融政策が利下げに転じ、ソフトランディングを達成することがベースシナリオとなる。他方で、景気が急激に腰折れするリスクも残る。個人消費について、若年層の暮らし向きが悪化していることは懸念材料である。また、今後インフレの減速が停滞し、FRBによる利下げが先送りされれば、株式等の資産価格が下落し、逆資産効果により個人消費が大きく下振れすることも想定し得る。
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