サマリー
◆2023年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.4%と加速し、市場予想(Bloomberg調査:同+1.5%)を上回った。内訳を見ると、金融引き締めの影響を受けて住宅投資は引き続き落ち込んだが、設備投資は加速し、個人消費は底堅く推移した。結果、米国経済の自律的な成長を反映する民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)も堅調なペースとなったことから、米国経済は好調を維持したと評価できよう。
◆2023年7-9月期に関しては、雇用環境の緩やかな悪化に伴い、個人消費がペースダウンしていくと想定される。FRBの金融引き締めなどを背景に、設備投資も減速する可能性が高い。住宅投資に関しては、ボトムアウトしつつあるが、回復ペースは緩やかである。民間最終需要以外の要因による押し上げも期待しにくく、実質GDP成長率は緩やかに減速していくと予想される。もっとも、緩やかな景気減速は、雇用環境の大幅な悪化を経ずに、インフレが減速していくというソフトランディング期待と整合的なものである。他方で、リスクシナリオには景気の下振れリスクだけでなく、上振れリスクもある。景気の上振れリスクが高まれば、FRBによる金融引き締めはより長い期間継続することとなり、金融機関や市場におけるストレスが高まり得る点には注意が必要だろう。
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