サマリー
◆2022年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.9%と、2四半期連続でプラス成長となった。市場予想(Bloomberg調査:同+2.7%)を小幅に上回ったが、概ね想定通りだろう。他方、内訳を見ると、米国経済の屋台骨である個人消費は堅調さを維持したが、設備投資は減速し、住宅投資は引き続き大幅な減少となった。結果、米国経済の自律的な成長を意味する民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)は同+0.2%と7-9月期(同+1.1%)から伸び幅が縮小し、景気の減速感は強まった。
◆2023年1-3月期に関しても、民間最終需要は伸び悩むことが見込まれる。住宅投資は引き続き低迷し、景気が減速する中で企業は設備投資に積極的になりにくい。消費を喚起するイベントの少ない上半期は消費行動が抑制されやすく、個人消費もペースダウンしていく可能性が高い。GDPは民間最終需要以外の要因(純輸出、民間在庫、政府支出)によって左右されやすい構図が続く。これらに関しても押し上げ要因としては期待しにくいことから、1-3月期の実質GDP成長率は減速することが予想される。景気が減速していくことは、インフレをさらに減速させるために金融引き締めを続けるFRBにとって、想定通りの結果だろう。しかし、景気後退懸念は高まっており、FRBにとってインフレ抑制と景気後退リスクのバランス取りは、難易度が増しているといえる。
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