サマリー
◆2022年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.6%と、3四半期ぶりにプラス成長に転じた。市場予想(Bloomberg調査:同+2.4%)に概ね沿った結果であり、サプライズはない。設備投資は加速し、米国経済の屋台骨である個人消費は底堅い結果となったものの、金融引き締めの影響を受け、住宅投資が大幅な減少となった。結果、米国経済の自律的な成長を意味する民間最終需要(個人消費、設備投資、住宅投資の和)は同+0.1%と4-6月期(同+0.5%)から伸び幅が縮小し、景気の減速感は強まった。
◆10-12月期に関しても、民間最終需要は伸び悩むことが見込まれる。タイトな金融環境が継続することで、住宅投資は引き続き低迷することが想定され、設備投資や個人消費も景気全体が減速する中で徐々にペースダウンしていくことが想定される。実質GDPのヘッドラインは純輸出や民間在庫によって左右されやすい構図が続くわけだが、これらに関しても押し上げ要因としては期待しにくいことから、10-12月期以降の実質GDPは減速していくことが予想される。景気が減速していくことは、インフレ抑制に向けて金融引き締めを進めるFRBにとっては想定通りの結果といえるが、景気後退へと転じる可能性も高まる。インフレ抑制と景気後退リスクのバランスをいかに取るか、FOMCは難しいかじ取りを迫られている。
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