サマリー
◆2022年7月26・27日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の1.50-1.75%から2.25-2.50%へと0.75%pt引き上げられた。6月のFOMCに引き続き、2会合連続で0.75%ptの大幅利上げとなった。なお、今回の0.75%ptの利上げは市場参加者の織り込みが進んでいたことから、サプライズとはならなかった。
◆今回の利上げ幅が想定通りとなる中で、注目点は9月のFOMCで利上げ幅が縮小されるか否かといえる。縮小されるとすれば、インフレが徐々に落ち着き始めているとFOMCが認識していることを意味する。今回の声明文を見ても、パウエルFRB議長の記者会見での発言を踏まえても、高進するインフレに対するFOMCの警戒感は強いままである。そして、パウエル議長は9月のFOMCでも0.75%ptの利上げが継続され得ることを示唆した。
◆実際に大幅利上げができるかは、景気次第ともいえる。声明文は景気後退リスクの高まりを認めつつも、雇用環境の堅調さについても強調した。また、パウエル議長はインフレ収束なくして健全な成長なしというスタンスを継続していることを示した。雇用環境が大幅に悪化しない限りにおいては、多少の景気悪化には目をつむり、インフレ対策を優先することを示唆しているだろう。
◆物価・雇用の先行きに関しては、CPIは当面高止まりし、雇用環境は急激に悪化しにくいことが想定される。こうした物価・雇用状況を踏まえれば、9月のFOMCでの利上げ幅の縮小はハードルが高いため、0.75%ptの利上げが継続される可能性は大いに残るといえる。経済指標や利上げ幅を巡り、毎年恒例の8月末に開催されるジャクソンホールでの金融政策に関するシンポジウムが、9月のFOMCの温度感を測る上で注目点となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 0.25%pt利下げとQT一部停止を決定
先行きは過度な利下げ期待は禁物
2025年10月30日
-
トランプ2.0で加速する人手不足を克服できるか
~投資増による生産性向上への期待と課題~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
米国経済見通し 過去とは異なる政府閉鎖
政府閉鎖による悪影響は従来よりも長期化する恐れ
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

