サマリー
◆2022年1月25・26日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、0.00-0.25%に据え置いた。政策金利に関しては、据え置きが市場コンセンサスであったため、サプライズはない。
◆今回のFOMCの注目点は、①テーパリング(国債等の買入額の減額)の終了時期、②利上げの開始時期、③QT(バランスシートの縮小)の開始時期であった。テーパリングは3月前半に完了予定、利上げは3月15・16日のFOMCでの実施を示唆と、市場の予想通りの結果となった。他方で、QTに関しては、「連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小するための原則」が公表されるサプライズとなった。パウエル議長の発言を踏まえれば、最短で3月のFOMCでQTの詳細を公表し、5月のFOMCで開始する可能性がある。
◆今回のFOMCで市場の更なる織り込みを促したともいえるが、利上げやQTを進める上で、FRBにとっての難局はこれからだろう。新型コロナウイルスの感染状況による景気の下振れや、その後の回復が力強さを欠く可能性がある。こうした中、市場はFRBが3月のFOMCでの利上げやQTの詳細公表へと踏み切るのか懐疑的な状態が続くことも想定され、FRBが金融政策の正常化を進める上でのハードルが高まる可能性があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日