米金利上昇が新興国へのマネーフローと米企業財務に与える影響

新興国からの資金の逆流と、金利負担増による不良債権の増加に注意

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2021年07月01日

サマリー

◆米国の長期金利の上昇が本格化する場合、一部の国や企業に過大な負担をもたらしかねない。本稿では、その中でも特に新興国へのマネーフローと米企業の債務負担に注目し、米国の金利上昇がもたらす影響を分析する。

◆先進国から新興国への資金流入は、2010年代半ば以降、両地域の成長率の格差で説明できる以上の額となっている。新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の影響で経常収支が悪化した新興国もあり、米国の金利上昇をきっかけにマネーフローが逆流する可能性がある。

◆米国では、リーマン・ショック後の緩和的な金融環境と新型コロナ対応のための手元資金の調達によって、企業債務が過去最大となっている。長期金利の上昇が本格化すれば、支払利息の増加によって財務の健全性が失われ、不良債権が増加する恐れがあり、警戒が必要である。

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