サマリー
◆5月の失業率は13.3%、非農業部門雇用者数は前月差+250.9万人と、大方の予想に反して改善するサプライズな結果となった。各州で経済活動の再開(リオープン)が進展したことが、雇用環境の改善につながったと考えられる。失業率は4月を底に最悪期を脱したとみられる。
◆今後は雇用環境の改善ペースに焦点が移る。米国において新型コロナウイルスの新規感染者は緩やかに減少トレンドにあるものの、依然として毎日2万人前後が新たに罹患しており、感染拡大の収束には目途がついていない。雇用環境の改善は、感染拡大ペースを考慮し、漸進的に進むリオープンに沿った形で緩やかに進んでいくとの公算が大きい。
◆今後の雇用環境を左右する要因としては、失業保険の増額期限が7月末に切れることで、失業者が職探しを積極化させることが挙げられる。しかし、失業者が職探しを積極化させても、企業が経済活動を活発化させ、雇用を拡大させなければ職にありつけない。
◆リオープンが漸進的な中で、企業は依然雇用の拡大に慎重な姿勢を示している。加えて、人種差別事件に対する抗議デモや暴動が広がるなど社会秩序の悪化によって、企業が一層消極的になり、雇用環境改善の妨げとなることが当面の懸念点といえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
政府閉鎖前の雇用環境は緩やかな悪化が継続
2025年9月米雇用統計:雇用者数は増加に転じるも、回復は緩やか
2025年11月21日
-
統計公表停止中、米雇用環境に変化はあるか
足元は悪化基調が継続も、先行きは悪化一辺倒ではない
2025年11月14日
-
FOMC 0.25%pt利下げとQT一部停止を決定
先行きは過度な利下げ期待は禁物
2025年10月30日

