サマリー
◆2020年4月28・29日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、0.00-0.25%に据え置いた。また、3月以降相次いで導入されてきたバランスシート政策に関しても、今回のFOMCでは新たな政策は導入されなかった。3月に矢継ぎ早に実施した政策の効果を見極めるために、一旦様子見ということだろう。
◆声明文を見ると、経済の現状認識・見通しは大きく引き下げられた。とりわけ、中期的な経済見通しの下振れリスクにも言及するなど、米国経済の落ち込みが長引く可能性があるとの認識をFRBが持っていることが示された。こうした経済見通しのもと、フォワードガイダンスとして、政策金利が当面据え置かれることが確認された。バランスシート政策に関しては、米国債等の購入ペースが幾分鈍化したものの、必要な分だけ購入し続けることに変わりはない。
◆金融政策の先行きに関しては、3月15日のFOMCでも議論された新たなフォワードガイダンスが注目される。また、実質ゼロ金利、かつバランスシートの急激な拡大の下で、金融政策の余地を広げる必要があることから、イールドカーブコントロールの導入に向けた議論が進む可能性があるだろう。最後に、超過準備に対する付利金利(IOER)の引き上げを巡って市場参加者とのミスコミュニケーションが起きないよう、FRBの配慮が期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日