サマリー
◆新型コロナウイルスが猛威を振るう中、米国は欧州諸国に過去14日間以内に滞在歴のある外国人の入国を4月半ばまで制限した。また、米国内では、非常事態宣言により、米国民は5月半ばまで生活に必要な最小限の活動にとどめることが推奨されている。
◆米国全体で自粛ムードが高まる中、レジャー・娯楽関連の消費が大きく減速すると見込まれる。欧州諸国からの旅行者が減ることで、レジャー・娯楽関連産業はさらに打撃を受け得る。結果的に、関連業種の雇用環境が悪化し、米国経済の屋台骨である個人消費をさらに下押しするというフィードバックが生まれかねない。
◆大和総研は、個人消費の落ち込みを主因に、経済活動抑制の影響が本格化する2020年4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率▲4.0%とマイナス成長に下方修正した。7-9月期は反動増を予想し、現段階ではリセッションを織り込んでいるわけではないが、新型コロナウイルスの収束が長引けば、反動増は後ずれすることになる。
◆また、景気の悪化を背景とした、クレジット・リスクの高まりが米国経済にとって最大のリスクといえる。FRBは採択可能な手段をフル活用しているが、対応には限界もある。信用不安を起こさないためにも、財政支出の拡大や金融規制の一時的な緩和などあらゆる政策を総動員する必要があるだろう。
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