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世界経済はこのまま分断していくのか

~米中の覇権争いと「リブラ」の台頭による国際協調分断の流れ~『大和総研調査季報』 2019年秋季号(Vol.36)掲載

金融調査部 主席研究員 内野 逸勢

金融調査部 主任研究員 長内 智

サマリー

リベラルな国際秩序を主導しているブレトンウッズ体制は2019年7月に創設75周年を迎えたが、その体制を維持できるかに疑問が呈されている。特に貿易紛争に代表される米中二大国間の対立構造が国際秩序の枠組みの中心であるG20とG7サミットを機能不全にさせている。そこには「米国 vs G6+中国」と「既存の国際秩序 vs 新秩序の希求」の二つの対立構造がある。この二つの対立は、他の国・地域間のこれまでの関係に影響を与え、世界経済分断の芽となっている。特に、米中貿易紛争におけるトランプ大統領の経済的相互依存関係を武器とする外交手法は安全保障の抜本的な見直し、技術覇権の争いなどに発展し、友好関係にあった国・地域同士の外交問題を深刻化させている。他方、デジタライゼーションが経済・金融面の国際協調の分断を助長する可能性がある。各国の通貨自体の概念を覆すリスクを有する「リブラ」等のプライベートコインの創設の動きが注目される。

これまで予期しなかった二国間の関係悪化が様々な地域で発生することで、既存の多国間の枠組みが分断化する流れが加速し、“1930年代の世界経済の暗黒の10年” のように、長期にわたって世界経済が減速する可能性が高まっている。

大和総研調査季報 2019年10月秋季号Vol.36

大和総研 調査本部が、その長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、経済、金融資本市場及びそれらを取り巻く制度を含め、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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