サマリー
◆2019年6月18日~6月19日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、今後の金融政策の方針転換が打ち出された。今回は政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを従来通り2.25-2.50%で据え置く一方、2020年末時点での政策金利見通し(中央値)を引き下げた。結果的に2020年の政策金利水準は2019年の水準を下回り、2020年末までの利下げを示唆する結果となった。
◆雇用統計や物価、設備投資及び製造業企業マインド等が弱含んでいたことや、米中貿易摩擦の悪化等に代表される不確実性の高まりへの懸念から、マーケット参加者は経済成長が鈍化する可能性があると考えており、2019年内の利下げを見込んでいた。こうしたマーケット参加者の利下げ要請に対して、今回のFOMCはセンチメントを壊さないよう配慮を示したと言える。
◆今後の利下げのタイミングと程度に関しては、2019年内に2度の利下げを想定しているFOMC参加者が7名と全体の4割を占める。こうしたFOMCの結果を受け、マーケット参加者は次回(7月)会合に向けて利下げムード一色となっている。
◆大和総研は、2019年4-6月期の成長ペースは緩やかなものになり、潜在成長率並みの成長が続くという見方が基本シナリオである。不確実性の高まりが懸念されるものの、次回会合における利下げを過信すべきではないだろう。なぜなら、利下げを決定するためには様々なリスクが経済見通しを下押ししたと判断できる材料が出てくることが条件となっているからである。金融政策の行方、ひいては経済の先行きを見極める際に不確実性の推移と経済指標を丁寧にフォローする必要性がますます高まっていると言えよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日