米雇用者数は再加速、景気減速懸念が後退

2019年3月米雇用統計:賃金上昇圧力は限定的で、Fedは様子見継続

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2019年04月08日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2019年3月の非農業部門雇用者数は前月差+19.6万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+17.7万人)を上回った。前月に急減速していた雇用者数の増加ペースの再加速が確認されたことで、米国経済の減速懸念を緩和する結果となったと言える。

◆家計調査による3月の失業率は前月から横ばいの3.8%と、市場予想通りの結果であった。だが、労働参加率は前月差▲0.2%ptの63.0%、就業率は同▲0.1%ptの60.6%と、いずれも前月から低下しており、内容は良くない。

◆3月の民間部門の平均時給は前月比+0.1%と、前月の同+0.4%から上昇幅が縮小し、市場予想(同+0.3%)を下回る結果となった。また、前年比ベースの変化率も+3.2%と市場予想(同+3.4%)を下回っており、好調だった2月から一転して、3月の賃金は物足りない結果となった。

◆賃金上昇率が鈍化し期待外れの結果となったため、インフレ率の落ち着きを根拠の一つとしたFedの様子見姿勢は維持されることになろう。ただし、雇用者数の増加ペース回復によって景気減速懸念が後退したこと、労働需給の非常にタイトな状況が続く中、賃金上昇圧力はなおも根強いとみられることから、債券市場が雇用統計公表後も織り込む利下げ期待は、やや強すぎると思われる。

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