サマリー
◆2019年3月の非農業部門雇用者数は前月差+19.6万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+17.7万人)を上回った。前月に急減速していた雇用者数の増加ペースの再加速が確認されたことで、米国経済の減速懸念を緩和する結果となったと言える。
◆家計調査による3月の失業率は前月から横ばいの3.8%と、市場予想通りの結果であった。だが、労働参加率は前月差▲0.2%ptの63.0%、就業率は同▲0.1%ptの60.6%と、いずれも前月から低下しており、内容は良くない。
◆3月の民間部門の平均時給は前月比+0.1%と、前月の同+0.4%から上昇幅が縮小し、市場予想(同+0.3%)を下回る結果となった。また、前年比ベースの変化率も+3.2%と市場予想(同+3.4%)を下回っており、好調だった2月から一転して、3月の賃金は物足りない結果となった。
◆賃金上昇率が鈍化し期待外れの結果となったため、インフレ率の落ち着きを根拠の一つとしたFedの様子見姿勢は維持されることになろう。ただし、雇用者数の増加ペース回復によって景気減速懸念が後退したこと、労働需給の非常にタイトな状況が続く中、賃金上昇圧力はなおも根強いとみられることから、債券市場が雇用統計公表後も織り込む利下げ期待は、やや強すぎると思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日