FOMC 「対称的」なインフレ目標の解釈

一見ハト派的だが、利上げ見通しはほぼ変わらず

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2018年05月07日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2018年5月1日~2日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の1.50-1.75%で据え置くことが決定された。金融市場では政策金利の据え置きが確実視されていたため、今回の決定にサプライズはない。

◆声明文における事前の最大の注目点であったインフレ率見通しに関しては、「中期的に委員会の対称的な目標である2%近辺で推移する」とされた。インフレ率の実績が2%に到達したことに伴う修正に加え、「対称的」の1語を付け加えられたことで、インフレ率の上振れを一定程度許容するというスタンスが改めて強調された。

◆インフレ率の実績が3月のFOMCで示された見通しよりも速いペースで上昇していることに加え、原油価格の上昇、関税の導入によって先行きのインフレ加速リスクは高まっている。「対称的」という表現が追加されたのには、インフレ率見通しが上方修正含みとなる中、それが即座に利上げペースの加速につながるものではないということを示す意図があったと考えられる。

◆ただし、インフレ率が今後、想定以上のペースで加速する可能性がある以上、利上げが後手に回ることを懸念するFOMC参加者が増える可能性は十分考えられる。FOMC参加者による2018年の利上げ回数の中央値は、6月のFOMCで上方修正される可能性が高いだろう。大和総研では、次回、6月のFOMCでの利上げに加えて、2018年末までにさらに2回、2018年通年では4回の利上げが行われると予想する。

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