米国失業率は2000年以来の低水準

2018年4月米雇用統計:賃金は底堅いが、やや物足りない伸び

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2018年05月07日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2018年4月の非農業部門雇用者数は前月差+16.4万人となり、前月から増加幅が拡大したものの、市場予想(Bloomberg調査:同+19.2万人)には届かなかった。しかし、過去分に関して、2ヵ月合計で+3.0万人上方修正されたことも踏まえると、均してみた雇用者数の増加ペースは概ね想定の範囲内と言える。

◆家計調査による4月の失業率は前月差▲0.2%ptと6ヵ月ぶりに低下、2000年12月以来の低水準である3.9%となった。今回、失業率が低下する要因となったのは非労働力人口が大幅に増加したことであり、必ずしも良い内容とは言えない。だが、失業率が長期的に見て低い水準まで低下しているという事実に変わりはなく、労働需給が非常にひっ迫した状態にあるという評価自体を改めさせるものではないだろう。

◆4月の民間部門の平均時給は、前月から4セント上昇、前月比+0.1%となり、市場予想(同+0.2%)を下回った。また、前月分が下方修正されたこともあり、前年比変化率も+2.6%と市場予想(前年比+2.7%)に届かなかった。賃金は底堅い上昇が続いているとも評価できる一方、今回、失業率が低下したことに照らすと、やや物足りない結果であった。

◆労働市場の先行きとしては、高水準を維持する企業マインドを背景に雇用者数の増加基調が続くと考えられる。ただし、企業部門を取り巻く環境として、原油価格の上昇や関税の導入などを背景とした仕入価格の上昇に対する懸念が高まっていることには留意が必要であろう。通商政策の進展次第ではコスト増による企業収益の下押しは今後一層深刻になるとみられ、採用意欲の低下につながる可能性があろう。

◆今回の雇用統計がFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に与える影響は軽微と考えられる。賃金上昇率についてはやや物足りない結果となったが、2%近辺でインフレ率が安定的に推移することを目指すFRBにとって、インフレ率が既に2%に達する中での賃金のさらなる加速は必ずしも望ましいとは限らない。

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